こんにちは。「へるしいたけ」店長の山根です。
さて、皆さんはしいたけの種類として「どんこ」や「こうしん」っていう名前、聞いたことがありませんか?
当サイトでも「どんこ」と「こうしん」を分けて販売しています。
今回はそんな、しいたけの種類について解説していきます。
- 違いは「見た目」!? どんこ と こうしん の違い
- なぜ、違いが生じるの?しいたけの成長と「どんこ」「こうしん」
- どんこは冬の時期に取れたものが多い!
- 出汁が出やすいのはこうしん
- どちらを選んだらよいの?
1.違いは「見た目」!? どんこ と こうしん の違い
結論から申し上げますと、これは「見た目」で異なる呼び方です。傘の巻き込みが強く、丸く見えるしいたけを「どんこ(冬菇)」、傘が開き、ヒダ立ちが美しいものを「こうしん(香信)」といいます。よく、しいたけの品種のことだと考えている方がいらっしゃいますが、品種は関係ないんです。ちなみに、どちらの呼び方も乾しいたけの起源である中国から伝わったものです。
というわけで、あくまでこの二つの違いは見た目ですから、どちらを選んでも味は変わりません。したがって、私たちもそうですが、市販されている乾しいたけには特別「どんこ」だ「こうしん」だと謡っていない商品も多いです。
2.なぜ、違いが生じるの?しいたけの成長と「どんこ」「こうしん」
では、なぜこのように見た目が変わるのでしょうか。ここではしいたけの成長を見ながら、この違いを解説していきます。
しいたけは、普段は「菌糸」と呼ばれる状態で木の中で暮らしているのですが、環境が整うと、子孫を残すためにきのこを作ります。その際、まずしいたけは木の皮を突き破って芽を出すと、縦方向に伸びていき、その過程で傘の肉がのっていきます。
この時点でしいたけを採取して裏返しても、ヒダはまだ見えません。
(↑ 木の皮を突き破って芽を出したしいたけ。少し成長すると↓のように、まず縦方向に膨らんできます)
(↑まだヒダは見えませんね。)
その後、しいたけは一定の大きさになると成長が止まり、傘がだんだん開いてきます。この際にヒダが見えるようになります。この開き具合が7分程度までに収穫したものを「どんこ」、7~8分程度まで開いて収穫したものを「こうしん」と呼ぶのです。
(↑ 巻き込みが十分残り、乾燥すると「どんこ」になりそうな椎茸)
(↑ 少し開き気味。乾燥すると「こうしん」になりそうな椎茸)
ところで、なぜしいたけの傘は開いてくるのでしょうか。
実はしいたけが傘を開くと見えてくるヒダは、しいたけが子孫を残すために胞子を出す器官なのです。したがって、「こうしん」くらいの状態からさらに放っておくと椎茸は完全に開ききって「巻き込み」と呼ばれる部分が無くなります。椎茸にとってはこの姿の方がより多くの胞子を飛ばせることとなるのです。しかし、流通という観点からすると、あまり形が良くないとされているので、価値は下がってしまうのです。
(↑ここまで開いたものを乾燥させると、↓のような干し椎茸になります)
3.どんこは冬の時期に取れたものが多い
どんこは形が良いので、古くから進物などの場面で好まれています。ですから「どんこ=良いもの」と認識されている方が多く、私も試食販売で店頭に立つと、必ずと言ってよいほど「このしいたけはどんこですか?」「どんこください!」と尋ねられます。
「冬菇」という漢字が示すように、1月~3月ごろの冬期に採れる椎茸がどんこになりやすいです。どんこは、上記したように傘の巻き込みが強いもの、早めのタイミングで収穫したものを指します。
実は傘が開き始めてから開ききるまでの時間は気温によって大きく異なります。暖かいと半日もしないうちに開ききってしまうので、収穫が間に合わず、どんこ椎茸がとりにくいということになります。
また、芽が出たばかりの時期に気温が高いと椎茸は軸の部分ばかりが大きくなり、反対に傘には肉がのらずにすぐ開いてしまいます。その点、冬は寒いので、椎茸は芽が出てから3週間から1か月程度の時間をかけてゆっくりと育ちます。すると、肉質が締まった肉厚のどんこ椎茸に成長できるというわけです。
したがって、寒い時期にきのこが成長しやすい品種(低温菌)が、「どんこが作りやすい品種」ということになります。なので、私たちは「菌興115号」をはじめとする独自の低温菌を開発し、生産者に栽培して頂いております。
なお、贈答用のしいたけなどには白い亀裂が入った「花どんこ」と呼ばれるしいたけもありますが、こちらはしいたけが芽を出した段階で適度に乾燥した空気に触れることによってできるものです。見た目がより美しいので、贈答用として扱われます。また、乾しいたけをよく食べる中国の方は特に喜んで購入されます。
4.だしが出やすいのはこうしん
こうしんは先ほどのどんこが開いたものですが、その分ヒダがしっかり見えるようになります。ここがこうしんのポイントです。実は乾しいたけの旨味成分(グアニル酸)の素となる成分はヒダから出るため、こうしんは「ダシが出やすいしいたけ」といえます。また、表面積が多いことから吸水性が高く、戻り時間が比較的早いため、使いやすいのも魅力です。価格もどんこと比べるとお手頃の傾向があります。お寿司、お吸い物など椎茸のダシを活かした料理にはお勧めです。
ちなみに、どんことこうしんの間のような形のものを「こうこ(香菇)」と呼ぶ場合もあります。
5.どちらを選んだらよいの?
では、実際に乾しいたけを選ぶ際はどのように選んだらよいのでしょうか??
先ほどまで見てきたとおり、「どんこ」と「こうしん」で味の違いはほとんどありませんから、私は用途によって判断されるのが良いと考えています。つまり、贈り物などで見た目の良さを求める場合(特にご年配の方には喜ばれます)や、肉厚の食感を楽しみたい場合は「どんこ」、価格やダシの出やすさを求める場合は「こうしん」を選ばれると良いでしょう。
どちらを選ばれても、原木栽培の干し椎茸の歯ごたえや香りは格別なものです。当サイトでも「どんこ」や「こうしん」をはじめとして、様々な用途で使えるしいたけを多数用意しております。特に「どんこ」は115号をはじめとする弊社独自の低温菌が中心の厚い肉が自慢です!ぜひおためしくださいね!